LUのイローナのディープ・ルッキングを紹介してきた。
ディープ・ルッキング 1 | 2 | 3
彼女から許可をもらって、セッションの記録をひとつ訳してみた。これを読むと流れがよくわかるし、効果も理解できる。
ただし、事例を読むのと経験するのはまったく別だとイローナが注意している。それでも、こういうセッション例を読むことでやってみる気になったり、あるいは読むだけでも効果が多少はあったりするのではないだろうか。
なお、オンラインのチャットか何かを記録したもののようで、多少やりとりが前後するところもある。
原文: Deep Looking Session With K (Marked, Eternal)
== 以下、訳 ==
Kさんとのディープ・ルッキングの個人セッション
ディープ・ルッキングはリリースのためのテクニックで、一対一でするのがもっとも効果的ですが、自分ですることもできます。もちろんこれを読むのと実際に経験するのはまったく別です。セッションを予約したい方は私にメールしてください。
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イローナ (以下I): 始めてもいいですか?
K: はい、お願いします。
I: よかった。ではまず深呼吸を何回かしてください。それからマインドに対して、やすらいでいるかどうか尋ねてください。
K: いえ、やすらいでいません。
I: 答えてくれたことに感謝してください。マインドに、くつろいでやすらぎたいかどうか尋ねてみてください。
K: はい。
I: わかりました。マインドに、今やすらいでいないのは何が邪魔をしているのか尋ねてください。
K: ひどい憂鬱が邪魔をしています。
I: そうですか、ではマインドをハグしましょう。
マインドに、何を変えるべきかを尋ねてください。
K: うっとおしい重苦しさ、この分厚い覆いがどこかに消えないと駄目です。
I: はい。マインドに感謝してください。その分厚い覆いと話をしてみましょう。その覆いに去りたいかどうか尋ねてください。
K: 何も答えません。
I: 体の感覚はどういう感じですか。広がっている感じなら「はい」、縮む感じなら「いいえ」だとわかります。もう一度その覆いに質問をして、体の感覚をじっくりと見守ってみましょう。
K: 縮んでいます。たぶん「いいえ」です。
I: わかりました。答えてくれたことに感謝してください。
その覆いに、何か伝えたいことがあるかどうか尋ねてください。
あなたに対して、何かに注意を向けてほしいと思っているかどうか。
K: 尋ねてみたんですが、答えがありません。
I: 大丈夫です。
ではマインドに、この重みは何を守っているのか尋ねてみてください。
K: 何も守っていません。
I: マインドに、この重みを手放す準備ができているか尋ねてください。
K: はい、準備ができています。
I: よかった。マインドに感謝して、今すぐにそれを手放す準備ができているか尋ねてください。
K: はい。
I: 素晴らしい。では十分に時間をとって、その重みを必要なだけ感じきってください。その感覚に名前をつけないで、ただ体のなかの生 (なま) のエネルギーの動きを見守ります。準備ができたら言ってください。
K: わかりました。
I: 私はここで待っていますので。
K: わかりました。どうもありがとう。
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K: ずっと見守っていたのですが、まだそこにあります。強さはそのままです。でも、胸のあたりでその重みを強く感じる気がします。
I: その感覚に、やって来てくれてありがとうと伝えて、お辞儀をします。その感覚に、去りたいかどうか尋ねてください。
K: 感謝をしてみたんですが、正直言うと感謝する気持ちにはなれません。これがすごい苦しみの元になっているんですから。
だからお辞儀をしたとしても、それは心からのものじゃないんです。
I: それに感謝をしてください。
それは贈り物なんです。あなたは嫌だと言いますが。
K: これが贈り物なんてありえないです。
I: 深いところにあったものが表に浮かんできて、それはどこかへ行こう、システムを去ろうとしているんですが、それがわかりますか? それが去るということが贈り物です。でもその贈り物を手に入れるには、それが表に出てきて去ろうとしていることに感謝しなくてはなりません。
苦しみがここにあるのは、この贈り物を受け取ろうとしていないからです。そのことは問題ありません。感じているように感じるのは問題ないです。
K: 申し訳ないんですが、そのことがわからないので、心からの感謝ができないんです。この重みはずっと何度も戻ってきて私を苦しめます。機械的に感謝することならできますが、本当に感謝するのは無理です。
I: それに去ってほしいと思うのはかまいません。ここでできるのは、抵抗に気づくことだけです。抵抗がありますか?
K: はい。
I: 抵抗に話しかけてみましょう。出てきてくれたことに感謝をしてください。
好きになる必要はありませんが、いまこの時点で可能な限り真剣に感謝します。
K: ええ、やってみます。
やってみました。
I: よかった。抵抗に対して、何を守ろうとしているのか尋ねてください。
K: 傷つけられることから守ろうとしています。
I: もちろんそうですね。ハートに話してみましょう。ハートに対して、あなたがどれだけありがたく思っているか伝えてください。
傷ついているかどうかハートに尋ねてください。
K: 傷ついています。
I: 答えに感謝してから、ハートをハグしてください。
ハートに対して、何を一番求めているか尋ねてください。
K: 軽やかな歓びの感覚です。
I: 答えに感謝してください。そう感じるのを邪魔しているのは何なのか、ハートに尋ねてください。
K: 何かの暗い雲のようなものです。それが何なのかはっきりしません。
I: ハートに対して、その暗い雲が覆っているのは何なのか尋ねてください。
K: それ自体を覆っています。
つまり、その雲はハートを覆っています。
I: ハートに、その雲が守ってくれているかどうか尋ねてください。
K: そうでもありません。
I: ハートに対して、その雲を手放す準備ができているかどうか尋ねてください。
K: はい、準備ができています。
I: いますぐに雲を手放す準備ができているかどうか、ハートに尋ねてください。
K: ええ、できています。
I: それはよかった。雲を感じてください。近くに寄ります。名前を付けずにそれを感覚として観察します。それに感謝しながら、それに集中してください。
雲に心を開いてください。
K: いくらか消えた感じです。それほど強くありません。というか、見つけるのが難しいです。さっきより軽やかな感じがします。
I: よかった。何か残っているもので焦点を合わせられるものがあるかどうか、それが通り過ぎていくのをそのままにしておけるかどうか見てください。
K: 今は大丈夫です。これだけ動いただけでもすごく満足しています。もっと何かが必要という気はしません。
でも、もし必要であれば、残りのものに焦点を合わせ続けます。
I: もっと出てくるように頼んでください。招きます。それに対してこう言います。去る準備ができているのなら、いま去ってください。そうしてから、もう一度体のエネルギーに集中します。
K: わかりました。
I: 時間がかかって大丈夫です。急ぎません。もっと多くのものが出てくるように開いて、出てきたものがそれ自体で解放されるようにするという考えです。出てきたものに感謝して、助けてくれたことにお礼を言います。
K: できました。これを思い出して、自分でやる気になったときはいつでもまた続けるということでいいですか? 今日はもう終わらなくちゃいけなんですが、セッションをどうもありがとうございました。本当にありがとう。
I: どういたしまして。お役に立ててすごく嬉しいです。
そうですね、思い出したら何でも続けてみてください。
K: こんなに長い時間とすごい労力を私にもほかの多くの人にも割いてくれて。どうしたらこんなことができるんですか?
I: 暗闇を押しのけるのではなく、迎え入れて、それが通り過ぎるままにしてください。
では、また。
おっと、このワークは私の人生に今は統合されている感じです。
K: なるほど、わかりました。どうもありがとう。では、さようなら。
I: さようなら。
〈翌日〉
I: 今日は調子はどうですか? 闇はもうどこかに行きましたか?
K: こんにちは。完全にではないですが、仕事ができる程度には。今日はなんとなく、あの闇は自分のものではない感じがしています。そういうものをただ見ているだけのような感じです。
I: それはいいですね。闇は自分のものじゃないということですね。それがスタートです。それに心を開いて、通り過ぎるままにすることができます。
K: ええ。
I: 感覚に焦点を合わせるとエネルギーが動いて、解放が起こります。
K: うんうん。じゃあ、思い出したときにそれをすればいいということですか? 私はこれを瞑想テクニックのひとつとして習ったことがあって、瞑想セッションのときにきっちりとした感じでやっていました。そういうことをすると何か役に立ちますか?
I: その構造が出てきたときは、いつでもやって大丈夫です。それのためのスペースを空けてそのままにしておく、とエネルギーが動きます。
K: わかりました。やってみます。
どうもありがとう。
== 訳は以上 ==
このセッションはどちらかというと淡々と進んでいる感じなので、エネルギーがだいぶ動いていることがわかりやすいセッション記録も訳してみる予定。
といっても、実感が大きければそれでいいということでもなく、そのあたりについては以前少し書いたこともあるが (書いてなかったかも?)、最近もたまに考える。実感の横道とか。派手に効果が感じられる何とか式ヒーリング (商標登録済) や最新の心理療法よりも、数十年前にどこかの国のどこかの町の片隅でひとりの少女が「誰かこれをきいてくれているのかな」と心細く思いながらひっそりと平安を願ったその祈りの方がはるかに深い影響を及ぼしているんじゃないかとか。
などと言いながら、相当強い実感を伴いそうな手法についてこうやって書いているけれども、まあそれはそれで。